SIMフリースマホは本当に高いのか?
Cnetなどがソフトバンクの孫正義社長が会見で「高いSIMフリー端末は需要ない」というコメントを掲載している。本当にそのままの通りにコメントしたのかは不明だが、どちらにしても「SIMロック解除をしたくない」ソフトバンクのネガティブキャンペーンにも見える。
孫社長のコメントは下記の通り。
「(SIMロック解除は)かねてより、機能的にも提供すべき内容としても、あって然るべきだと思っている。ただこれが極端な形で行われると、理に適わないことになる可能性もあるので、詰めながらやっていくべき」
「SIMロックを解除された高い端末をあえて欲しいというユーザーがそんなにいるとは思えない」
「現にAppleから販売されているSIMロックフリーのiPhoneはほとんど売れていない。わざわざ6~8万円も出してiPhoneを買いたいという人は日本にはいない……これは実績として出ている」
出典:CNET
まず、孫社長はiPhoneの独占販売権を得るまで、SIMロック解除を推奨していた方。iPhoneを獲得して以来「iPhoneのソフトバンク」として成長して来たので、一転、隠れた「SIMロック解除反対派」に。iPhoneをSIMロック解除されて一番困るのはソフトバンクですからね。
そうした背景から、上記の発言になったのでしょう。しかし、上記の発言にはいくつかの矛盾があります。
(1) 2年間のトータルコストではほぼ同じ、2年目以降はSIMフリーのが安い
最初の2年間は、本体分が割り引かれる「端末割引」が効くので、同じ端末、同じ通信条件であれば、キャリア買ったほうが安くなります。しかし、それは2年間だけで、端末代金を全て払い終わった後は、割引条件のないため「割引のない高額な月額料金を払う」ことになります。
SIMロック解除が義務化されるとメリットがあるのはこうしたケースで、2年契約が終わったタイミングで、端末はそのままにして、より安いプランの携帯会社に移動することで、月額料金は劇的に安くなります。
(2) 最新版スマホは高い?海外では3万円程度のミドルレンジスマホが人気
孫社長は「高いiPhoneのSIMフリー版は売れていない」としていますが、実際、海外でもSIMフリーのiPhoneは高過ぎて売れてないようです。しかし、それはiPhoneだからであって、「SIMフリー端末は高い」という論理は成り立ちません。
実際、日本でも人気のXperiaは型落ち世代であれば3万円程度で購入出来ますし、むしろ海外で人気なのはこうしたミドルレンジスマホ。Androidが世界シェアを伸ばしているのは、こうした「ミドルレンジスマホ」が支持されているからであって、日本人はこうした「ミドルレンジスマホ」を知らないため、「スマホ=高い」と思いがちです。
海外では、1万円のプリペイドスマホが空港で売っているくらいで、日本のようにスマホを8万とかで分割して買うほうが例外とも言えます。
つまり、スマホは世界的に見れば「高くはない」わけで、もちろんその中にはSIMフリースマホもあります。SIMロックが厳しかったアメリカですら、SIMロック解除法案が通過する状況で、「SIMロック解除に需要がない」というのは、頭の良い孫社長の本音とは思えません。
(3) おそらく、「SIMロック解除はしたくない(特にiPhoneの)」が本音
実際には、「SIMロック解除なんてされては困る。でも、ユーザー目線の経営者として反対は出来ない。だったら、”SIMフリー=高い”というイメージを植え付けてしまおう」という戦略に思えます。
そもそも、「SIMロック解除」と「SIMフリー端末」は厳密には違います。「SIMフリー端末」は最初からどのキャリアにも対応する端末ですが、「SIMロック解除」は今のキャリアから離れるために「ロックを解除する」行為。全くものが違います。
多くの人は、「SIMロック」という単語も知らないし、「SIMロック解除」と「SIMフリー端末」は同じことだと誤認することを利用した発言と言えるでしょう。
さすが、孫社長というところですが、消費者の我々はそうした「言葉のマジック」に惑わされてはいけません。なぜ、携帯会社ばっかり毎年利益を上げられるのか、なぜ5万円などのキャッシュバックを顧客にプレゼントしても利益が出るのか、よーく考えてみましょう。
SIMロック解除などの規制が出来ると携帯キャリアは「儲からなくなる」と言います。しかし、彼らの発言は、「利益が0円以下になって赤字になる」という意味で取りがちですが、実際には「(ぼろ儲けだったのに)利益が”少なくなる”」という意味でしょう。
そのボロ儲けの元手は我々の月額料金。海外ではスマホでも数千円で持てるのが当たり前。もし、携帯料金に1万円以上払っているなら、「高い」と思うべきです。
日本人は報道の言葉を信じがちですが、しっかりと事実を知り、誰もがより安い料金でスマホライフを過ごせるようになって欲しいと願います。